土星の秩序

土星は社会と言う枠組みや秩序を作ります。同時に、土星は厳格、冷酷、非情、憂鬱、抑圧、悲観、心配症なども扱います。安全を構築するために、枠を作るのですが、枠から外に出ることを危ういと判断するからです。

土星が作る決まり

個人と個人が集まると、そこに集団が出来、互いに合意したルールや決まりが出来ていきます。人々が長く持続的に生きていく為には、集団や社会が生まれ、その中で多数の人間がやり取りをしなければなりません。その為には、一定の決まりが必要であり、そうでなければ、人々は常に新しいこと、未知のことに対応しなくてはなりません。日常が生まれず、無秩序になり、それは結果的に人類と言う種の存続も危うくなっていきます。

土星が作る秩序は、長い時間と多くの経験から培ったものです。土星は経験したものに関してはとても強いと言えます。

秩序は時代の変化とともに風化します。環境が変わり、文明が生まれ、人々のニーズが変わるので、古い秩序は崩れ、新しい秩序が生まれる時がやってくるでしょう。規則や決まりと言うのは、あまりに変則的であってはいけませんが、長く使っていると時代遅れ、時代錯誤と言われるようになります。新しい世代が増えるともにそれに適したルールへと組み換えや再編成を起こしていきます。

同時に再び古さが見直される時期もやってきたりもします。歴史や考古学、骨董などで価値を出してくるのです。

土星の年齢域

55歳から70歳と言われます。一般的な会社勤めの場合、定年後であり、第二の人生と言われる時期。第一線からは退いて、自分が得た経験や知恵を次世代の人々に継承したり譲り渡したり、若い世代の育成や環境整備したり、社会全体を見渡していく時期に入っていきます。同時に、権威者となり、重責を担い、何か問題が起きた時には決断したことの責任を取るなどの重い役割を担ったりもします。

最近では、50歳を過ぎてから独立、会社を立ち上げ、コミュニティのリーダーとなる人も多くいます。寿命が延びて体力もあるのでしょう。人生の最終章で好きなことをやれるだけの財力や知恵を培ったともいえるのかもしれません。

土星の役割

個人の出生チャートにおいては、責任、責務、枠組み作り、構築、努力を要する箇所、と言うことになります。土星のある箇所は、子供のうちや若いうちはコンプレックスを持ちやすい場所でもあります。それをどうにか克服しようと努力を重なることで、強靭なものになっていくこともあります。土星の分野は、そう簡単には上手くいかないので、挫けてしまうこともあるかもしれませんが、ずっと心の隅にあるあまり触れたくない場所となります。

また、自分に何らかの厳しさを課している場所でもあったりします。それは割と幼少の頃の尊敬する大人像、到達したいと思った目標にも関連してきます。消防士になりたかった子供は、「消防士はいつでも危ないことに向き合わなくちゃいけないんだ」と子供なりに勝手に描いたことが、大人になってもいつも気にしていることになり、いつ危険が起きても大丈夫なように備えをしていたりします。憧れの消防士と言う夢が消え去っても「危ないことに対処しなくちゃ」と言う癖だけは変わらずに残っていて、それで自分を鍛えているようなところがあります。

それが特に生活や人生に支障をきたしていないのであれば良いですが、何らかの支障がある場合には、それを正してあげる必要があります。そういう場合は、目標を見失ってしまった状態なので、自分自身を客観的に見つめなおして、今の自分の目標や到達点に見合ったものにしていくと良いでしょう。

サターンリターン

出生土星に対して、トランシットの土星がハードスクエアをかけてくる時期は、何らかの壁を乗り越える必要がある時期だったりします。それは個人のルールや個人のやり方が通用しなくなる頃であり、社会に適合するように自分自身を再編成する時期と言えるでしょう。代表的なものは、29歳前後で起きるサターンリターンです。

自分の主張がどうしても通らない、わかってもらえない、と言うような時、ひょっとするとそれは個人的過ぎて周囲との連携が出来ないパータンであったり、持続的なやり方とは掛け離れていたりするかもしれません。

コンプレックスが強い場合

コンプレックスが強くて、日常生活にも支障が出ている場合、それは土星を見直してみると良いかもしれません。根深い心理的な問題は、冥王星や海王星、ひょっとするとキロン(カイロン)などに関わるかもしれません。土星の場合ですと、責任回避、ルールが守れないなどに表れています。父親問題も絡み合っているでしょう。

権威的なものに反発したくなる、義務や責任から常に逃げてしまう時、自分の子供時代の大人像に反発しているだけかもしれません。そうすることで、自己を守ろうとしてしまうのかもしれません。そこには、まだ月や太陽などがうまく発達できていない問題もあるかもしれません。

もう一つは、境界をうまく設定できていない場合があります。相手の問題と自分の問題の区別が付かずに、相手の問題を自分の問題に取り込んでいたり、自分の問題を相手のせいにすることで自己を保っていることもあるでしょう。これも海王星や冥王星がもたらす問題だったりもしますが、自己と他者の境界を設定するのは何れにせよ土星の力が必要となります。

境界の引き方の目安は、完璧に出来る自分像ではなくて、だいたい6割常に出来る範囲を考えてみるとよいかもしれません。「完璧」「きちんと出来る」と言う言葉は、今の時代において頻繁に使われ、いかにもそうでなくてはならない様に思えるのですが、本当はいつでも完璧でちゃんとしている人なんていません。ある意味、土星と言う大人の判断が曖昧な状態と言えるでしょう。現代の病の様にも感じます。

土星を活かすには、土星だけでは成り立ちません。月から土星までの7天体をうまく動かしていくこと、特に月と太陽に戻ることで、それに伴って責任や義務などが生じてきます。そうやって社会に関わっていく道を探していくことで、決まりもルールも守ろうとする意志が働いて来るでしょう。

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