ニコラス・カルペパー
ニコラス・カルペパー、この名前に聞き覚えがある人は結構いらっしゃるのではないかと思います。アロマテラピー検定の試験にも出てくるので、知っている方も多いかもしれません。17世紀の伝説的なハーバリストです。カルペパーは、医師会で独占していた知識を、一般の人々にも読みやすい形で出版しました。
カルペパーは激動の時代に、彼自身の人生も激動でドラマティックに駆け抜けて生きました。恋に落ちた女性と駆け落ちしようとするが、相手の女性が雷に落として命を落としてしまうと言う衝撃的な出来事も経験しています。すっかり憔悴した彼は、ロンドンの薬局に丁稚奉公させられることになりました。そのことがその後のカルペパーが名声を得ることに繋がっていきます。
カルペパーは、つねに貧しい人や庶民の側に立っていました。貧しい人には安い費用で治療し、医師会で独占していた知識も人々が読みやすいようにしていきます。それが今の時代まで伝わっています。
占星術とハーブの関係
占星術は迷信やロマンティックなものとされますが、当時は占星術は医学と密接に結びついていて、医学を学ぶことは占星術の知識を持っていると言うのは当たり前のことでした。
ハーブ事典では、薬草は全て、惑星と関連付けられています。その効能を読んでいると、惑星の意味の理解の手助けにもなり、また惑星がどの身体部位を司っているのかと言うことにも理解が深まるでしょう。
すべてのハーブを覚えられなくても、知っているハーブの項目を読んでみることでもいつもと違う側面から占星術を知ることが出来ると思います。西洋で良く見られるハーブなので、馴染みがないものも多いですが、日本でも日常に使われている植物も多くあります。生姜やニンニク、バジル、玉ねぎなども読んでみると面白い発見があるでしょう。ハーブティなどを飲んだり、お料理に使っている方は、より数多く身近な植物を見つけることが出来るでしょう。
アリストテレスの世界観
当時の医学は、古典占星術をずっと継承していますから、モダン占星術のみを勉強されている方は、多少難しい面があるかもしれません。古典占星術の世界では、体内には四つの体液があり、血液、胆汁、粘液、黒胆汁があり、それらのバランスが大切とされていました。それぞれの体液は占星術の四大エレメントと対応し、血液=風、胆汁=火、粘液=水、黒胆汁=地となります。これらの考え方は、古典占星術の基礎を知っているとより深い理解が得られることでしょう。
「カルペパー ハーブ事典」では「ハーブの収集、保存方法とシロップなどの作り方」と「付録」も熟読することもおすすめします。ページ数は短いながらも、役に立つ知識がふんだんに盛り込まれています。
例えば、第15章のところなる「第二に占星術を学ぶ者にー」と言う書き出しの部分だけでもとても為になります。
1.アセンダントのロードの性質を持つハーブで、身体を強化する。その際には、アセンダントが幸運でも不運でもよい。
「カルペパー ハーブ事典」
アセンダントのロードを強化するアイテムを使うと言うことは、その人のラッキーアイテムを選ぶことにも使われる手法です。パワーストーンやお守りを作ったりする時にも使うやり方です。他にも1~7まで心得の様なことが書かれています。
占星術を一歩深めたい方におすすめです。