トランスサタニアンとは、肉眼で見える土星より遠い天体である天王星、海王星、冥王星を指します。肉眼で見えない天体なので、これら天体の象徴も心理、精神、霊的なことなど目に見えない多くのことを象徴します。
心理学は、トランスサタニアンが発見され始めた18世紀から、学問として発展を遂げています。1781年に天王星発見、1846年に海王星が発見されていますが、1790年代にアンリ・エランベルジェによって無意識が発見され、海王星発見後に生まれたフロイトによって無意識をベースにした精神分析が確立されているのはとても興味深いことです。
さらに、冥王星が発見された1930年以降は、ゲシュタルト心理学、発達心理学、マズローによる自己実現など、より深い心の領域に潜り込み、潜在意識からの欲求、深いところからの心の成長や可能性を探究するようになりました。
トランスサタニアンは、見えないもの扱うので、そこには恐怖、恐れ、隠されているもの、抑圧しているもの、秘密、集合意識、集団で抱えている問題などを扱うことになります。それまでその人が遭遇してきた中では想定できなかったことに遭遇し、そこで生まれる感情、意識、視点などが、その人の生き方の多くを教えてくれますが、その分個人の抵抗は大きくなります。
トランスサタニアンを考える時には、心理学について学ぶと、自己の成長に役に立つことでしょう。ただ単に「怖いことが起きる」と占断するよりも、その裏にある目に見えない心の動きに目を向けて、そこに発現したがっているエネルギーを見出し、促すことで、大きな可能性やパワーとなり得ます。
反面、トランスサタニアンは、自己でコントロールしようとしてもうまくいかないことが多いでしょう。トランスサタニアンの影響は、「これまで認識していなかったこと」から気付きを得て、学び、成長することを促されるからです。変化と言うのは、これまでの自分を否定することや、これまでのやり方を止めない限り変化とはなり得ないからです。過去や過去の価値観に注いでいたアイデンティティを崩す必要があり、それは一時的に自信喪失を招いたりすることもあるかもしれません。
でも、この見えない領域からやってくる気付きは、その人を大きく成長させてくれ、その人がそれまで行けなかった領域への道を気付かせてくれるものになるでしょう。
天王星
天王星のアタックは、その人の人生において変えるべきこと、必要性を伝えてきます。時代にそぐわなくなっている生活習慣、価値観に揺さぶりをかけて、変化を促してくるでしょう。古い構造を入れ替え、凝り固まっている価値観に改善の風を起こし、そのせいで不自由になっている箇所に自由で風通しの良い人生に変化させていきます。
変化は突然やってきたように感じるかもしれませんが、思い返してみると実は本人はずっと「変わらなければ」と思っていたことだったりします。天王星の変化を迎える時に、それに抵抗したり、古い構造にしがみついたりすると、かえって周囲からの強く変化を求められたり、手の出せない決定権によって物事が急に決められたりするでしょう。
神話ではウラヌスは息子クロノスによる追放の物語があります。天王星は、父親に対する反発心、反抗心として掘り起こされるようなことがあり、それは自立心の芽生えでもあります。この個性化のプロセスがうまくいかないと、ただ単に古い体制に盾突くような反逆的な態度や天邪鬼的な態度となってしまいます。
自身の自由を獲得する為、周囲を良くしようとする動きであれば良いかもしれませんが、自分自身に向き合う事なく権力や組織に反抗して現状を維持しようとする動きであれば、その鼻をへし折られプライドを傷付けられるような思いをするかもしれません。
天王星は、ただ親や社会に迎合して生きてきた人が、ある日「言われた通り生きていくことは本当の自分なのか?」と言う自分自身に問うような疑問が湧いてきた時、それが目覚め、気付きへと促され、その人の個性化へのプロセスを促します。これまでの環境から飛び出ることで、自由を得て、自立心、独立心を成長させ、精神的な成長を促すことになるでしょう。